嚥下障害を肩甲骨からアプローチしてみよう!

摂食嚥下
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嚥下障害を肩甲骨からアプローチしてみよう!

 

嚥下障害?頸部に問題があるんじゃないの?

 

 

もちろん!頭頚部周囲筋の状態が嚥下に大きく関わってくるよ!でも、肩甲骨にも嚥下筋はくっついているよ!

 

 

肩甲舌骨筋

肩甲舌骨筋

 

ほんとだ!肩甲骨と舌骨についてる!

 

 

これは、『肩甲舌骨筋』と呼ばれ、起始は「肩甲骨上縁」、停止は「舌骨体下縁」です。分類としては「舌骨下筋群」に分類されます。

つまり、嚥下と肩甲骨は関連があるということが分かるでしょう。今回は、嚥下障害を肩甲骨からアプローチする方法について紹介します。

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肩甲骨を評価しよう!

まず、対象者の肩甲骨がどのような状態なのかを把握する必要があります。

肩甲骨間距離

肩甲骨間距離は両肩甲骨内側縁の上角間距離と定義します。下の図をご参照ください。

 

肩甲骨間距離

肩甲骨間距離

 

健常者は13㎝~16.6、嚥下障害者は9.1~11.9㎝と、嚥下障害者のほうが肩甲骨間距離が短くなる傾向があります。

肩甲骨前傾角

肩甲骨前傾角左右の肩峰を基本軸に、肩甲骨内側縁と肩峰を結ぶ線を移動軸として、両軸の交差角と定義します。

 

肩甲骨前傾角

肩甲骨前傾角

 

健常者は26.3°~34.5°、嚥下障害者は18.1°~26.3°と、これまた嚥下障害者は角度が小さくなる傾向にあります。

相対的喉頭位置

基本的には側臥位で計測するのですが、今回は食事状況に近い姿勢で計測するため座位で計測します。

オトガイと甲状軟骨上端の距離(GT)と甲状軟骨と胸骨上端の距離(TS)を計測し、GT/(GT+TS)×100で算出された値を相対的喉頭位置と定義します。

相対的喉頭位置

相対的喉頭位置

 

健常者は46.6%~58%、嚥下障害者は52%~65.7%となっています。数値だけでは分かりづらいと思います。数値が高いほど喉頭位置が下がっているということです。

 

喉頭位置が下がるということは、嚥下時に持ち上げるために大きな力が必要になったり、持ち上げる時間が伸びてしまいます。

そうなると嚥下時に喉頭蓋の働くリズムが崩れ(喉頭閉鎖不全喉頭蓋反転不全ともいいます。)、誤嚥のリスクが高くなります。

肩甲骨へのアプローチ法

嚥下障害のある人は、両方の肩甲骨が近づいたり、肩甲骨が後傾したり、喉頭が下がったりするんですね!

 

では、さっそく肩甲骨へのアプローチを紹介していきます!ちなみに、ここからは肩甲骨周囲筋の名前がたくさん出てきます。筋の走行と動きが分からない人は以下のリンクをチェックしましょう。

 

肩甲骨間距離が短い場合

「肩甲骨間距離が短い」という言葉を言い換えると、「肩甲骨が内転している」となります。

 

内転しているなら、外転させてあげればいいんじゃないの

 

その通り!内転位になることで、内転筋の短縮や外転筋の伸張が起こっている可能性があります。

肩甲骨内転筋のストレッチ

肩甲骨の内転は僧帽筋中部線維と菱形筋が担っています。

肩甲骨外転筋の求心性収縮による筋力強化

肩甲骨の外転は小胸筋と前鋸筋が担っています。

肩甲骨前傾角が小さい場合

肩甲骨の動きって「挙上・下制・外転・内転・上方回旋・下方回旋」の6つじゃないの?

 

 

 

それは前額面上の動きだね!矢状面上の動きもあることを忘れないで!矢状面上の動きは「前傾後傾」だよ!

 

 

肩甲骨の前傾角が小さいということは、肩甲帯は後傾しているのと同義です。アプローチについての考え方はさっきと同じ!肩甲骨後傾位=後傾筋の短縮と前傾筋の伸張が起こっている可能性があります

肩甲骨後傾筋のストレッチ

肩甲骨後傾筋は前鋸筋と僧帽筋下部線維が担っています。

肩甲骨前傾筋の求心性収縮による筋力強化

肩甲骨前傾筋は小胸筋が担っています。

肩甲骨が下制している場合

脳卒中患者の場合、筋緊張が低下して肩甲骨が下制する場合があります。

 

挙上位がダメなら下制位はいいんじゃないの?

 

 

一概にそうは言いきれません。下制することで、麻痺側の舌骨下筋群が伸張されます。麻痺側の舌骨下筋群が優位に働くということです。つまり、舌骨は麻痺側下方に変移してしまいます。舌骨の非麻痺側方向への可動性が乏しくなってしまいます

 

 

 

アプローチの考え方は同じです。肩甲骨下制しているなら下制筋の短縮と、挙上筋の伸張が起こっている可能性があります。

肩甲骨下制筋のストレッチ

肩甲骨の下制は僧帽筋下部線維が担っています。

肩甲骨挙上筋の求心性収縮による筋力強化

肩甲骨の挙上筋は菱形筋・肩甲挙筋・僧帽筋上部線維が担っています。

肩甲骨が挙上している場合

くどいですが、肩甲骨が挙上しているということは、肩甲骨挙上筋の短縮と下制筋の伸張が起こっている可能性があります。

肩甲骨挙上筋のストレッチ

肩甲骨の挙上は、肩甲挙筋・僧帽筋上部線維・菱形筋が担っています。

肩甲骨下制筋の求心性収縮による筋力強化

肩甲骨の下制は僧帽筋下部線維が担っています。

まとめ

ポイントのおさらいです。

✔肩甲骨のポジションを適切に評価しましょう。

✔ポジショニングを修正するためにはどのような運動が必要か考えましょう。

✔ストレッチ及び求心性収縮による筋力強化を行いましょう。

 

今回は肩甲帯を例に挙げましたが、嚥下機能は全身をアセスメントし、アプローチする必要があることが分かって頂ければ幸いです。
理学療法士のみなさまも是非、嚥下についての知識を身に着けてチームでアプローチしていく視点を得て欲しいと思います。最後まで読んで頂きありがとうございます。お疲れさまでした。

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