脳幹網様体の機能と嚥下

摂食嚥下
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脳幹網様体の機能と嚥下

今回は「意識」と言う部分と「嚥下」に着目してお話ししていこうと思います。

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難しい言葉だけど臆するな

脳幹網様体というだけで難しそうなイメージがありますね。脳の機能解剖に苦手意識がある私はこの言葉だけで身構えちゃいます。

 

そんな時は言葉を分解して考えてみましょう。要は脳幹(にある)網(の)様(な部位)ということです。

 

何の『網(あみ)』かと言うと神経です。

 

脳幹には、神経線維が網の目のように張り巡らされ、その間に神経細胞が豊富に分布している。
この放射状に分布している神経系を脳幹網様体と言います。
脳幹は中脳から橋にかけて、背側に存在します。

脳幹網様体の役割

神経が網目のように分布していると言うことは、そこの部分で莫大な情報が行き来しているんですね。

 

どんな情報が行き来しているのか代表的なものをまとめました。

 

①運動の調節
②意識の保持
③自律神経系の活動
④痛みの伝達と調節
簡単に書くとこんな感じです。
筋の緊張、姿勢、その他の運動に関わる神経(ニューロン)の連絡結合を行っています。
また、身体の隅々(末梢)から様々な感覚情報が送られてきます。
その情報から覚醒を維持することができます。
脳幹網様体は、種々の感覚刺激を受けるとともに、これから視床を経て大脳皮質にインパルス(活動電位)を送り、それを賦活している。これを上行性網様賦活系と言います。
脳幹網様体と上行性網様賦活系

常に意識レベルを保つ仕組み

上行性伝導路(脊髄視床路・後索内側毛帯路)を解説するよ

画像引用:上行性伝導路(脊髄視床路・後索内側毛帯路)を解説するよ

 

温痛覚や触圧覚などの表在感覚脊髄視床路を通って視床へ到達します。

 

位置覚や運動覚、振動覚などの深部感覚脊髄後索路脊髄延髄路)を通って視床へ到達します。

 

前項の図を見て頂けるとわかると思いますが、これらの経路を通るインパルスは脳幹網様体を通り過ぎて視床に到達します

 

絶えず脳は刺激を受ける事になり、覚醒レベルを維持できるのです。逆を言えば、覚醒を保つためには脳を刺激しようと言うことですね。

 

では、覚醒レベルを維持できていない方はどこが障害されているのでしょうか?
もう答えは言ってしまいましたが…。

 

大脳皮質が広範囲に障害されてしまい、視床を通り過ぎた後のインパルスが大脳に届かない場合
脳幹網様体または視床のどこかで障害されている場合

 

覚醒を促すための方法

覚醒レベルが落ちている方には積極的な離床を促すと言う介入方針にはこのような解剖生理が基盤となっていたのですね。

 

ではここで実践です。実際に覚醒を促す方法について紹介します。

 

・座る
・メカノレセプター
・特殊感覚
簡単に挙げるとこんな感じです。

座る

簡単に書いてしまいましたがそう言うことです。座るだけでも覚醒は促されます。

 

一番良いのはベッド端座位などの背面開放座位です。背もたれがない座位のことです。

 

普通にベッドに腰掛けるだけでも私たちは座面から床からたくさんの感覚情報を得て無意識的に姿勢制御を行っています。

 

姿勢制御の中枢は脳幹の一つである中脳です。

 

メカノレセプター

また難しそうな言葉が出てきましたね。

 

メカノレセプターとは感覚受容器のことです。身体の様々部分(特に関節)に存在しますが、その中でも足の裏(踵部、近位前足部、母趾裏)には多くのメカノレセプターが存在します。

 

メカノレセプターは「平衡感覚を働かせるセンサー」の役割を果たします。

 

先ほどの背面開放座位を例に出します。(床に足がついている状態)

座っている時に、体重がどこにどうかかっているかを足底のメカノレセプターで検知し、その情報を脳幹を経由して大脳皮質に送ります

 

※そして、大脳皮質は三半規管から入ってきた刺激とメカノレセプターからの情報とを統合し平衡感覚を認知します。

 

つまり、メカノレセプターを刺激することで覚醒を促すことができます。

 

姿勢制御とメカノレセプターの刺激を同時に行うことができる背面開放座位はより良い覚醒の促しができそうですね!

 

プラットフォーム端座位で後方から患者さんを支えて、徐々に支える量を減らし、姿勢制御をたくさん頑張ってもらいましょう!

特殊感覚

簡単に言えば5感です。つまり、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚ですね。

それぞれの経路は異なりますが(細かい経路は省略させて頂きます。)、どれも大脳皮質を活発にすることができます。

 

嚥下と覚醒

少し話が変わりますが嚥下中枢について少しお話しします。

 

国試にも必要な知識かも知れませんが、ここで質問です。嚥下の中枢はどこでしょうか?

 

答えは延髄網様体です。

 

先ほどの脳幹網様体の一部分です。

 

当然と言えば当然の話ですが、覚醒を維持するために必要な脳幹網様体や大脳皮質の障害は嚥下障害に直結します

 

覚醒の状況は日による変動も時間による変動もあります。食事中に意識レベルが低下することだってあります。

 

大事なことは「なんで覚醒が落ちたのか」を考えることです。

消化管の血流量増加による副交感神経の作用によるものなのか
嚥下時無呼吸による酸素飽和度の低下なのか
窒息によるものなのか

 

これ以外にも原因は様々に考えられます。摂食訓練を行う際には覚醒レベルを経時的に追って行きましょう。

 

有名な意識レベルの評価はJCSがありますが、バイタルサインも重要な意識の評価の一つです。

 

おわりに

食べる練習だけが嚥下に対するリハビリではありません。覚醒を上げることが大前提にあり、覚醒を上げることで嚥下に対する効果があるということを知っていただけたら幸いです。

 

理学療法士と言語聴覚士が連携を取ることが必要ですね。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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