咀嚼力を測定する方法を3つ紹介します
咀嚼は食塊を形成する能力であり、嚥下・消化を円滑にするために必要な動作で、摂食嚥下には欠かせない能力です。
また、咀嚼をすることで唾液の分泌が盛んになり口腔内衛生にも関与しています。
重要な機能ですが、高齢になると残存歯数の減少や咀嚼筋の筋力低下などにより咀嚼能力が低下する可能性があります。
咀嚼能力が低下すると摂取できる食物の形態や摂取量に影響を及ぼします。つまり栄養摂取の低下を引き起こし、さらなる筋力低下を招くといった負のスパイラルを引き起こします。
咀嚼力の検査は、そういった負のスパイラルに陥る前に対策を講じるための評価であり、現状の能力に適した食物形態の調整の目安になったり、義歯を作成するにあたって必要な情報であったりします。
今回は、咀嚼力を評価する方法を3つ紹介しようと思います。
咀嚼能力検査システム(グルコセンサー)
グルコセンサーGS-IIはジーシー社から販売されている咀嚼力を測定する医療機器です。
グルコースが含有されているグミを20秒間咀嚼し、10mLの水で含嗽した後に、グミと水を濾過用メッシュに吐き出して、メッシュを通過した液体のグルコース濃度を測定する方法です。(咀嚼能力検査システム)
認知症や高次脳機能障害などで計測方法を理解できない方、咀嚼するための歯がない方は実施できません。
咀嚼能力検査システムにおけるグルコース濃度100mg/dL未満を口腔機能低下症の一つの基準としています。
学習スライド
キシリトール咀嚼チェックガム
ロッテ社から販売されている咀嚼能力を評価するガムです。
咀嚼能力に応じてガムの色が変化します。
使用方法
・ガムを60回咀嚼する。(著しく咀嚼能力が低下している場合は100回)
・1秒に1回のペースでガムを噛む
※左右自由に、両方で噛んでも良い
※上下の歯が毎回しっかり噛み合うように噛むこと
・噛んだガムを口の中から出して直ぐに色を確認し、パッケージのカラーチャートを参照に咀嚼能力を評価する
詳しい使用方法については公式HPをご覧ください。
咀嚼能力測定用グミゼリー
UHA味覚糖社から販売されている咀嚼能力測定ができるグミゼリーです。
30回ほど咀嚼した後に咬断片の細かさを評価することで咀嚼能力を評価することができます。
もちろん咀嚼して飲み込んだらダメですよ!
咀嚼検査全般に言えることですが、認知症や高次脳機能障害などで計測方法を理解できない方、咀嚼するための歯がない方は実施できません。
使用方法
30回咀嚼したグミゼリーを口の中から出し、咬断片の大きさを咀嚼能率スコア法サンプルシートを比較することで、スコア0~9の10段階で評価します。
詳しい使用方法については公式HPをご覧ください。
ガムやグミを使用する方法は特別な機器を必要とせず簡易的に行うことができるのでとても便利だと思います。
入院患者様、利用者様の中でちょっと咀嚼に不安があるなと感じている方がいればぜひチームで検討した上で利用してみてはいかがでしょうか。
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