Dダイマーについて知っておきたいこと
Dダイマーって何?
血液中に血の塊(血栓)ができると良くないのはなんとなく分かりますか?
血流によって血栓が身体をめぐり、脳にあるとても細い血管まで到達すると詰まってしまいます。これを脳梗塞(梗塞;ふさがって通じないこと)といいます。
我々の身体にはこの血栓を溶かす働きが備わっています。
その働きをするものをプラスミンと呼びます。
専門的な用語で具体的に説明すると、「血液凝固因子であるフィブリノゲンやフィブリンを溶解する」
ということになります。
この現象を線維素溶解現象といいます。
線維素とは「線維の素」ということです。
この写真は凝固したヒトの血液の拡大写真です。
赤血球に線維が絡みついています。この線維をフィブリン・フィブリノーゲンといいます。
『ノーゲン』とは『の源』ということです。フィブリンの源でフィブリノーゲン…。
冗談です。でも覚えやすいでしょう?
フィブリノーゲンがトロンビンの働きを受けてフィブリンとなります。
さて話が脱線したので元に戻します。
血栓がプラスミンによって分解される物質のことをFDP(フィブリン分解産物)といいます。
そして、FDPはプラスミンによりさらに分解されて、最終的にはDダイマーとE分画とになります。
出ました。Dダイマー。
FDPはフィブリノーゲン分解(一次線溶)とフィブリン分解(二次線溶)を総合的に反映しますが、Dダイマーは二次線溶だけを反映します。
ここまでのまとめの図を示します。
これは何がわかるの?
Dダイマーは播種性血管内凝固症候群(DIC)で高値を示します。
小さな血栓が全身の血管のあちこちにできて、細い血管を詰まらせる病気です。
また、心房細動に伴う心房内血栓や大動脈解離、深部静脈血栓症、手術後などでもDダイマーの値は高値となります。
臨床ではこちらの方が一般的ですかね…?
FDPの基準値:10 μg/ml未満
リハビリをするときの注意点
簡単に言えば「Dダイマー高いから血栓が血液中に多く存在してますよー。」ということです。
「下腿の積極的な運動による筋ポンプ作用によって血中の血栓が流れてしまうかもしれないよ。」ということです。
血栓を作りやすい場合には、ワーファリンなどの抗凝固剤を内服している方もいます。
血が固まりにくくなるということなので、そういった方には出血に要注意です。
抗凝固剤の内服の有無にも目を向けておこう!
どんな人がDダイマー高値になりやすい?
血栓を作りやすい方の徴候で有名なのはウィルヒョウの3徴です。
血流の停滞
身体を動かさなかったり周囲からの圧迫で血流が停滞すると血栓を作りやすいです。
血液がドロドロになる
血小板が増えたり集まりやすくなるような因子によって血液の性質が変化します。
血管壁の損傷
血液の流れが不規則になり、流れが弱いところに血栓ができやすくなります。
麻痺が重度
ウィルヒョウの3徴とは違いますが、血栓の作りやすさは麻痺の重症度とも相関があるとされています。
BRSを I,II の重度,III,IV の中等度,V,VI の軽度の 3 群に分け,DVT群と非DVT群との間でその症例数を比較したところ,このDVT群と非DVT群との間に有意差を認め,DVT群では重度の麻痺の割合が多く逆に軽度の麻痺の割合が少なかった。
参考文献:回復期リハビリテーション病棟に入院した脳血管障害患者の深部静脈血栓症
おわりに
リスク管理の一つとしてDダイマーを見逃すわけにはいきません。
臨床では基礎中の基礎の知識なのでぜひ機序まで押さえておきましょう。
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