食事は環境から変えていく Part.2

2019/08/13
 
アイチャッチ画像
この記事を書いている人 - WRITER -
hayato
長崎県生まれ福岡育ち 1994年8月生まれの獅子座 血液型はB型でマイペースな性格 趣味は料理と音楽鑑賞とゲーム 東京都の回復期病院勤務で理学療法士2年目の新米です。患者様のリハビリを日々お手伝いしています。 好きな分野は摂食嚥下・解剖学・生理学

食事は環境から変えていく Part.2

 

食事の環境調整の2回目です。1回目は、環境アプローチの基本事項と、食事の自力摂取についての環境調整について話しました。今回は、介助摂取についてお話していこうと思います。前回の内容については以下をご参照ください。

食事は環境から変えていく Part.1

 

介助摂取はどのような姿勢が良いのか

 

以下のフローチャートを参照にして下さい。

 

介助摂取フローチャート

介助摂取の食事姿勢フローチャート

 

注意点として、歩行が可能なレベルでも「最重度」の嚥下障害がある場合には完全側臥位をとって下さい。

 

介助摂取の食事姿勢と介助の方法(座位)

 

まず、上の図の「椅子座位または車いす座位」の場合の介助摂取の食事姿勢と介助の方法についてです。

姿勢

 

ポイントは以下の2つです。

1.機能的座位でも安楽座位でも良いです。また、必ずしも無理に骨盤を立てなくても良いです。リラックスした姿勢を心がけてください。無理に骨盤を立てることで姿勢保持によって疲労が起きてしまいます。

2.円背の場合には椅子を補整します。(詳しくは食事は環境から変えていく Part.1をご参照下さい。)

 

食具の使い方と介助の準備

 

ポイントは以下の4つです。

1.介助用のスプーンを使用しましょう。(自食用より浅い作りになっています。)

2.スプーンは軽く持ちましょう。そうすることで患者の口唇圧を感じることができます。

3.患者の顎が上がらないように介助者も座位をとりましょう。

4.介助者が座位をとれない場合にも顎が上がらないようにしましょう。

 

基本の食事介助方法

 

ポイントは以下の5つです。

1.一口量はティースプーン一杯が基準です。

2.スプーンは正中から入れましょう。

3.閉口したらスプーンが歯にぶつからないように上方向に引き抜きましょう。

4.開口しない場合、上唇に食材を触れさせてみましょう。

5.開口している患者の上唇に食材を擦り付けて落とす食事介助は絶対にしないで下さい。

食事介助方法

引用:佐藤彰紘:「その介助法で本当に大丈夫?」OTが知っておくべき一般的介助技術,OTジャーナル(三輪書店),Vol52(11)p1160-1164,2018より一部改変引用

 

気を付けるべき患者の反応

 

食事介助を行っている際に患者の反応もしっかり観察しましょう。

1.患者の口にスプーンが近づくと、頭頚部は伸展位となりやすいです。

2.口唇を閉じない方法で食事を取り込み続けると、口が閉じられなくなります。

3.「吸う」食べ方は空気を吸い込むため、誤嚥のリスクが高くなります。これは、横径の大きいスプーンを使った場合によく見られます。

食事介助での患者の反応

引用:佐藤彰紘:「その介助法で本当に大丈夫?」OTが知っておくべき一般的介助技術,OTジャーナル(三輪書店),Vol52(11)p1160-1164,2018より一部改変引用

 

介助摂取の食事姿勢と介助の方法(リクライニング位)

 

次に、上のフローチャートにある「リクライニング位」の場合での介助摂取の食事姿勢と介助方法について話していきます。

 

リクライニング位の利点とは?

 

なぜ、食事介助の姿勢はリクライニング位が好ましいのか。食事は環境から変えていく Part.1で話ししたときは、自力摂取する場合はリクライニング位は不向きと話しました。例え話で、「新幹線とか飛行機でシートを倒したままご飯を食べる人は少ない」と話したのを覚えていますでしょうか。

介助摂取では、あくまでも「食べやすさ」ではなく「誤嚥を防ぐ」ことに重きを置いています。

リクライング位は誤嚥を防ぐために適した姿勢なのです。

決して食べやすい姿勢ではないことは頭の片隅に入れておいて下さい。

 

リクライニング位の利点についてまとめます。その前に、嚥下の仕組みについて、良いgif画像があったので引用させて頂きます。

 

引用:摂食嚥下障害|丹後ふるさと病院

上の画像の水色が食べ物ですね。そして、食道は気管より後ろにあるのが分かります。

 

リクライニング位

 

リクライニング位(上の図)は、喉頭(こうとう;のどぼとけ)が真上に上がらないといけないので飲み込みにくいですが、食塊は重力によって下方向すなわち食道へ入りやすくなり、誤嚥しにくくなります

 

 

円背の嚥下

円背の人(上の図)は食塊の咽頭への移送の際に重力に逆らって食塊を運ぶ必要があります。舌の筋力が低下した方では、それができずに、口腔内に残渣(ざんさ:食物のかす)が残り、誤嚥を起こすことがあります。このような場合にもリクライニング位をとることで、食塊の移送を容易にできます。

ポイントは、舌尖と舌奥が平行、もしくは奥舌が少し下がるようにリクライニング角度を調整しましょう。

 

姿勢

 

ポイントは4つです。

1.基本を忠実に守りましょう。(指4本分の頭頚部屈曲位、姿勢は左右対称に!)

2.背上げ軸と股関節を合わせて、ずり落ちに注意しましょう。

PARAMOUNT BED 背上げの研究 一部改変引用

3.肩は隙間を埋める程度に支えましょう。(無理に背中までタオルを敷き詰めないで下さい。)

4.前腕部分は床と平行になるように枕等で高さを調整しましょう。

 

頭頚部屈曲位保持のコツ

 

リクライニング位で頭頚部を屈曲位に保持するためのポイントは3つです。

頭頚部屈曲位のコツ

 

1.頭頚部が硬い人やマットが柔らい場合など、十分な屈曲位がとれない場合にはマットの下にタオルなどを入れましょう。

2.ポジショニングは外後頭隆起(頭の後ろで一番出っ張っている部分)を押すイメージで行いましょう。

3.首の下をタオル等で埋めて押しすぎると頸部は伸展方向になるため注意して下さい。

 

食具の使い方と介助の準備

 

ポイントは3つです。その前に…リクライニング位では大きな開口ができません。なぜなら、リクライニング位は後頭部を押さえているため上顎は固定されているからです。

1.リクライニング位では大きな開口ができないため、特に浅いスプーンを使いましょう。

2.小さい開口で容易に入る一口量にしましょう。

3.リクライニング位の患者に「もっと口を開けてください!」は禁句です。

その他の注意点は基本の介助方法と同じです。

 

ずり落ちを見抜き、防止する

 

ずり落ちを見抜く

 

良いリクライニング位は股関節がしっかりと「くの字」に曲がります。悪いポジショニングは股関節から体幹が弧を描きます

悪いリクライニング位は呼吸症状を悪化させるとともに腹圧を上昇させ、胃食道逆流の要因になります。

 

良いリクライニング位と悪いリクライニング位

 

ずり落ちを防止する

 

リクライニング前のベッドと身体の位置調整がポイントとなります。先ほど話したように、ベッドの背上げ軸と股関節の位置を合わせます。

大腿がベッドから浮いてくる場合には、大腿の下にタオル等を入れましょう。

 

車いす上のずり落ちを防止する

 

ずり落ちはリクライニングベッドだけでなく、車いすのリクライニング時にも起こり得ます。車いすのリクライニング機能だけで角度を調整すると、ほとんどの方は次第にずり落ちてきます。

やってはいけないことは、ずり落ちないように滑り止めを敷くことです。リクライニング時の身体は力学的に前方へ滑り出してしまいます。この前方への滑り出しを無理矢理に止めてしまうと、褥瘡のリスクを高めてしまいます。

これを防ぐため、リクライニング機能とティルト機能を併用しましょう。

車いすの滑り出し

リクライニング調節のみ

 

 

 

ティルト機能とリクライニング機能

リクライニング機能とティルト機能の併用

 

おわりに

Part.1とPart.2にわけて摂食嚥下の環境アプローチについて話してみました。ぜひ今回の内容を覚えて頂き、臨床で活かしてほしいと思います。チームで協力して嚥下の機能や能力を底上げしていって欲しいです。

次回は理学療法らしく、姿勢と嚥下の関係や姿勢の分析について話しをしていこうと思います。最後まで読んで頂きありがとうございます。お疲れさまでした。

この記事を書いている人 - WRITER -
hayato
長崎県生まれ福岡育ち 1994年8月生まれの獅子座 血液型はB型でマイペースな性格 趣味は料理と音楽鑑賞とゲーム 東京都の回復期病院勤務で理学療法士2年目の新米です。患者様のリハビリを日々お手伝いしています。 好きな分野は摂食嚥下・解剖学・生理学

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Copyright© 理学療法士の気ままリハブログ , 2019 All Rights Reserved.