ヒートショックの原因と対策

介護予防
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 ヒートショックの原因と対策

 

元プロ野球選手で監督としても活躍し、「ノムさん」の愛称で親しまれた野村克也さんが、2020年2月11日に東京都内の自宅から病院に搬送され、その後死亡が確認されました。

あまりにも急な訃報に世間が騒然としています。

 

家政婦が野村さんを『浴槽で』発見したとのことです。死因は『虚血性心不全』とのことですが、『ヒートショック』が絡んでいると考えられます。

 

以前、私が担当した患者様も退院して数日後に脱衣所で亡くなったとの知らせがきたことがあり、頭が真っ白になりました。

 

「あんなに元気だったのに何で…。」と頭を抱えました。同時に、回復期に携わる人間として、このような悲惨な事件は防いでいかなければならないと痛感しました。

 

今回は、そんなヒートショックの恐ろしさについてまとめたいと思います。

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ヒートショックとは

簡単に言うと、急激な温度の変化に身体がさらされることで、脈や血圧が急激に変動することです。

 

ヒートショックは冬場に起こりやすく、身体の温度が急激に変化する場所として代表的なものが「風呂場・脱衣所」です。

 

機序は以下の通りです。

  1. 暖房によって温まっている部屋から寒い風呂場へ移動することで、身体は『熱を放散しないように』として血管が縮み、その結果血圧が上がります
  2. 再び温かいお湯につかると血管が広がることで血圧が下がります
  3. 洗体後に風呂場から上がり、再び寒い脱衣所へ移動することで血管は縮み、血圧が上がります
  4. このように血圧が急激に何回も変動することで身体がショック状態となります
  5. 血圧の変動は心臓に負担をかけ、心筋梗塞や脳卒中につながり、最悪の場合死に至ります。

 

日本では年間10,000人以上がヒートショックが原因で死亡しているといわれています

 

2011年の1年間で約17,000人もの人々がヒートショックに関連した入浴中急死をしたと推計され、その死亡者数は交通事故による死亡者数(4611人)をはるかに上回る。

そのうち14,000人ほどが高齢者だと考えられている。

引用:Wikipedia|ヒートショック現象

交通事故による死亡者数よりも多いことを知っている方は全認知者の3割程度です。

また、ヒートショックという事象があることを知らなかったが、経験上似た症状を呈したことがある方も多数います。

 

高齢者がヒートショックになりやすい原因として以下のようなものが考えられます。

温熱感覚が低下することや住宅の温度がそもそも低いこと。
高血圧症や糖尿病に罹患している方が多い。

高齢者の住宅温度が低いのは、『寒さは人を強くする』という考えが古くから根付いているため、これに由来すると考えられます。

 

高血圧症や糖尿病などの循環器疾患に罹患する割合が高いのも原因の一つです。

当てはまる人は要注意!

以下のチェックリストでヒートショックの可能性があるかどうか検査しましょう。

それぞれの項目に対して対策を講じていきます。

✔65歳以上である
✔高血圧、糖尿病、動脈硬化、肥満、睡眠時無呼吸症候群、不整脈
✔浴室に暖房設備がない
✔一番風呂や熱い風呂が好き
✔飲酒後にお風呂に入ることがある
✔30分以上お湯に浸かっている

65歳以上である

一般的に65歳以上の男女は既往の疾患に関係なく『危険』という認識を持ちましょう。

 

この記事を読んでいる医療従事者の方は患者様に入浴に関する生活指導も行っていくべきです。

高血圧、糖尿病、動脈硬化、肥満、睡眠時無呼吸症候群、不整脈

どれも循環器系に関する疾患です。

これらの病気を罹患しているまたは既往に持っている方はなおさら注意が必要になります。

 

降圧剤を内服しており、普段は血圧が落ち着いているかたも同様に注意です。

浴室に暖房設備がない

住宅環境もヒートショックの原因となり得ます。

床暖房が設置してある家庭は必ず使用するようにしてください。そうでない場合は以下のような工夫を行いましょう。

 

・風呂場の床にスノコやマットを敷いておく。
・シャワーでお湯をためることによって、浴室全体を暖めておく。
・すでに浴槽にお湯がたまっている場合は、入浴前にふたを開けておく。

 

脱衣所にはファンヒーターを設置してお風呂に入る前から部屋を暖めておきましょう

『暖める』という目的なので、遠赤外線式のヒーターが即暖性があるためお勧めです。

上記商品は壁掛けタイプなので、つまづいて転んだり、服やタオル等に引火するリスクも少ないです。

しかし、ネジ止めが必要なので賃貸物件は壁を傷つける可能性があるのでお勧めはしません。

暖房器具については以下の記事で詳しく紹介されているので参考にどうぞ!

一番風呂や熱い風呂が好き

脱衣場と浴室の温度差は10℃以内に収めましょう。

 

高齢者は温度感覚が鈍ってくるので、高齢者は(特に冬場は)熱いお湯を好む傾向にありますが、命にかかわることです。42℃以上で心臓への負担が大きくなります。お湯の温度は38℃~40℃に設定しましょう。

 

また、高齢者と同居している方はお風呂の温度設定に気にかけてあげましょう。

 

室温計や湯温計を設置しておいて、確認しながら入浴することをお勧めします

引っかけることも吸盤でつけることもできます。

また、防水機能なのでお風呂でも使用できます。

飲酒後にお風呂に入ることがある

飲酒による身体の影響は以下の通りです。

 

  • 血管が拡張し血圧低下を起こす。
  • 身体の平衡機能も低下して転倒に繋がる。

 

人の体温が一番安定する時間帯は16~19時といわれており、この時間帯に入浴が推奨されています。

30分以上お湯に浸かっている

長湯は、心臓に大きな負担がかかったり血圧が下がりすぎてしまいます。

 

入浴時の注意点は以下の通りです。

・入浴時にはいきなり浴槽に入らず、心臓に遠い手や足からかけ湯をするなど、お湯の温度に体を十分に慣らしてから浴槽に入るようにしましょう。


・心臓病や高血圧の人には半身浴が良いでしょう。肩が寒いときはお湯で温めたタオルをかけてください。


・また、お風呂から出る時はゆっくり立ち上がることを心がけましょう。

おわりに

いかがでしょうか。今回紹介したものはある程度費用をかけずにできる対策がほとんどです。

「まさか自分がなるわけない」という考えを捨てて、今すぐにでも対策を講じていきましょう。

 

その行動一つで自分や周りの方々の命が救われるのです。

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