大腿骨転子部骨折の治療と評価

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大腿骨転子部骨折の治療と評価

今回は大腿骨転子部骨折についてです。

前回の記事と併せて読むことをおススメします。

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大腿骨転子部骨折の分類

Jensen分類

Jensen分類

Jensen分類(クリックして拡大)

それぞれの基準は以下の通りです。

Ⅰ.Two part undisplaced(転移のない2骨片骨折)
Ⅱ.Two part displaced(転移した2骨片骨折)
Ⅲ.Three part,loss of posterolateral support(後外側の支持を失った3骨片骨折)
Ⅳ.Three part,loss of medial support(内側の支持を失った3骨片骨折)
Ⅴ.Four part(4骨片骨折)
(R.Reversed)

ここで抑えておきたいポイントは2つあります。

TypeⅠとⅡは安定型、TypeⅢ‐Ⅴは不安定型

転子部骨折は関節包の外側での骨折であるため、基本的には骨癒合は良好です。そのため、安定型・不安定型に関わらず接合術を用います。

安定型、不安定型で違うのは接合術における術式の違いです。

安定型:CHS(Compression Hip Screw)
不安定型:γネイル

術式の選択

股関節骨折の術式・用語の整理

股関節骨折の術式・用語整理(クリックして拡大)

 

骨折観血的手術・ORIF・骨接合術は同義で、皮膚切開を行って、骨折した骨を元の位置に整復し、金属プレートや髄内釘などを用いて身体の内部で固定することです。

その中でも転子部骨折の適応は上記図の赤点線で囲んだ枠の中です。

CHS固定法と髄内固定法

CHS固定法と髄内固定法

画像引用:kansetsu-itai.com|大腿骨近位部骨折とその手術

リハビリの流れ

この項ではリハビリにおける初期評価で重要な項目と、リハビリを実施するうえでの注意点について説明します。

評価

受傷前の評価のポイントを抑えておきましょう。ポイントは3つ!

受傷前の歩行能力を聴取
認知機能検査
既往の確認

受傷前の歩行能力を聴取

受傷前の歩行能力はゴール設定に重要です。転子部骨折は基本的に術後翌日から全荷重が可能なので、サークル歩行器からピックアップ歩行器、そして杖へ移行できるように練習をしていきましょう。

受傷前の歩行能力が独歩であるならば独歩での歩行能力の獲得を目指したいところです。

また、自宅内を想定して伝い歩きも練習しておきましょう。

認知機能検査

認知機能はMMSEで評価しましょう。

認知機能が低下するほど、受傷前との歩行能力に乖離が生じやすいです。

高齢者の場合、年相応の知能機能低下も考えられるので、20点以下を認知症と診断するのが良いでしょう。

MMSEが1桁である場合は指示が入りづらく、リハビリが成立しない場合が多いです。

そういう方は本人主体で目的を促しつつ活動量を上げていきましょう

既往の確認

呼吸器循環器系の合併症や脳血管疾患による運動麻痺・感覚麻痺の有無はリハビリを進めるうえで障壁となり得ます。

負荷量の設定にも影響してくるので必ず確認しておくようにしましょう

リハビリを進めるうえでの注意点

リハビリを進めるうえでの注意点を3つ紹介します。

・疼痛
・関節拘縮
・筋力低下

疼痛

疼痛は骨折部の痛みと股関節周囲の軟部の痛みに分けることができます。

骨折部の痛み

消失期間:術後1週~2週

この痛みに関してはリハビリではどうすることもできないので、内服管理が基本となります。無理に荷重をかけずに関節拘縮の予防等尺性収縮での筋力トレーニングを中心に行いましょう。

股関節周囲の軟部の痛み

消失期間:術後3週以内

軟部損傷や手術侵襲による痛み、リハビリによる筋肉痛などが挙げられます。

特に、リハビリによる筋肉痛は股関節内転筋・大腿直筋・大腿筋膜張筋/腸脛靭帯に起こりやすいです。

このような痛みが生じた場合は、リハビリを休止または負荷量を下げましょう。ホットパックなどの温熱療法も試してみましょう。

関節拘縮

拘縮の原因

骨折時の軟部損傷や手術侵襲後の治癒過程で瘢痕形成が起こり、それが拘縮を招く可能性があります。

また、疼痛から回避する姿勢を取り続けることで拘縮を起こす場合もあります。

拘縮を起こす部位

拘縮を起こす部位として関節包が挙げられます

 

筋については股関節内転・伸展方向に拘縮を起こしやすいので念入りに可動域練習を行っていきましょう。数週間で改善がみられてくると思います。

 

一方、関節包の拘縮は厄介です。アプローチ的には同じですが、改善まで1年以上かかる場合もあります。退院後の自主トレーニングとして可動域練習を提案しましょう。

筋力低下

受傷前の筋力や受傷から手術までの期間が長い場合、筋力低下を起こしやすいです。

腸腰筋・中殿筋・大腿四頭筋の筋力の維持・向上は歩行能力に大きな影響を及ぼすので、術前から集中して練習を行いましょう。

ベッド上で行えるトレーニングとして、SLRや股関節自動外転運動、大腿四頭筋セッティングなどがあるので実施方法を指導しましょう。

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