誤嚥を防いで肺炎を予防しよう!~嚥下体操の方法~

2019/09/19
 
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hayato
長崎県生まれ福岡育ち 1994年8月生まれの獅子座 血液型はB型でマイペースな性格 趣味は料理と音楽鑑賞とゲーム 東京都の回復期病院勤務で理学療法士2年目の新米です。患者様のリハビリを日々お手伝いしています。 好きな分野は摂食嚥下・解剖学・生理学

誤嚥を防いで肺炎を予防しよう!

今回のテーマは「介護予防」です。その中でも「誤嚥」を防ぐ運動を紹介しようと思います。僕は仕事の昼休憩の時間でちらっと患者様のお食事場面を観察しています。看護師さんが介助していたり、言語聴覚士の方が摂食訓練をしています。ただ、介助や訓練を受けている人たちだけが問題があるとは思っていません。介助や摂食訓練を受けていない整形疾患で入院している高齢者の方も水を飲んで「ゲホゲホ!」とムセている場面をよく見かけます。

日本人の死亡原因と肺炎の原因

まず下の図をご覧ください。

画像引用:シニアガイド|日本人の死亡原因の1位は男女とも「ガン」、部位別では「気管支および肺」

厚労省から発表された「平成29年(2017)人口動態統計(確定数)」を基に、日本人の死亡原因のグラフを作成したものです。「肺炎」は7.2%ですね。これを多いと思うか、少ないと思うか...。

また、肺炎による死亡者の96.8%が65歳以上、肺炎が原因で亡くなる60歳以上の高齢者のうち96%が「誤嚥性肺炎」であるというデータがあります。

「肺炎」で死亡する人のほとんどが「誤嚥性肺炎」が原因で亡くなっているのがわかりますね。

誤嚥性肺炎の原因

誤嚥性肺炎の概要については以下の引用を参考にして下さい。

【概要】

物を飲み込む働きを嚥下機能、口から食道へ入るべきものが気管に入ってしまうことを誤嚥と言います。誤嚥性肺炎は、嚥下機能障害のため唾液や食べ物、あるいは胃液などと一緒に細菌を気道に誤って吸引することにより発症します。吐物を大量に吸引した場合には胃酸による化学性肺炎を起こすことがあり、メンデルソン症候群と呼ばれます。

【疫学】

嚥下機能の低下した高齢者、脳梗塞後遺症やパーキンソン病などの神経疾患や寝たきりの患者に多く発生します。肺炎球菌や口腔内の常在菌である嫌気性菌が原因となることが多いとされます。

【発症のメカニズム】

高齢者や神経疾患などで寝たきりの患者では口腔内の清潔が十分に保たれていないこともあり、この場合、口腔内で肺炎の原因となる細菌がより多く増殖してしまいます。また、高齢者や寝たきり患者では咳反射が弱くなり嚥下機能が低下します。その結果、口腔内の細菌が気管から肺へと吸引され、肺炎を発症します。また、栄養状態が不良であることや免疫機能の低下なども発症に関与してきます。他方、嘔吐などで食物と胃液を一度に多く誤嚥して発症する場合もあります。

【症状】

発熱、咳、膿のような痰が肺炎の典型的な症状です。しかしこれらの症状がなく、なんとなく元気がない、食欲がない、のどがゴロゴロとなる、などの非特異的な症状のみがみられることが多いのが誤嚥性肺炎の特徴です。

【診断】

誤嚥が明らかな場合や嚥下機能低下が確認されている患者では胸部エックス線写真で肺炎像を確認することで診断できます。白血球増加や炎症反応の亢進も重要な所見です。寝たきりの高齢者など誤嚥性肺炎の高リスク患者で肺炎が発症した場合には、本症を考えます。

【治療】

抗菌薬を用いた薬物療法が基本です。呼吸状態や全身状態が不良な場合は入院して治療を行います。同時に口腔ケアの徹底、嚥下指導も重要です。また、嚥下機能に悪影響を及ぼす薬物を内服していないかチェックし、その上で、嚥下反射を改善する効果が確認されているACE阻害薬などの適応を検討することがあります。

【生活上の注意】

喫煙で気道粘膜の浄化が抑制され、細菌が付着しやすくなるとされるため禁煙は重要です。また誤嚥防止のリハビリテーションも有効とされています。介護者は、患者の食事の際に十分に上体を起こし、ゆっくりと咀嚼・嚥下するよう指導することが大切です。肺炎球菌のワクチンも受けておくべきでしょう。

【予後】

高齢者や中枢神経系障害などで寝たきりの患者に発症し、慢性的に繰り返し発症する場合もあるので、予後不良の場合も少なくありません。

引用:誤嚥性肺炎|一般社団法人日本呼吸器学会

また、誤嚥性肺炎には3つのタイプがあります。

1.飲食物をむせて、そのまま誤嚥する場合です。このことを、顕性誤嚥と言います。ここで勘違いして欲しくないポイントがあります。それは「ムセているから誤嚥だ」と考えは間違いであるということです。ムセと誤嚥の区別をつけましょう。誤嚥は飲食物や唾液が気管に入ってしまうことで、ムセは、気管に入りかけた飲食物や唾液の一部を排除するための正常な反応です。ムセている人が必ずしも誤嚥しているわけではないのです。

2 口から喉の奥にかけて細菌の巣(コロニー)ができ、この細菌を含んだ汚染された唾液を本人や周囲が気付かないで誤嚥している場合です。これのことを、不顕性誤嚥と言います。先ほどの1タイプの考えの逆ですね。ムセなしに気管に入ってしまう場合もあるのです。これはよく見逃してしまうタイプであり、気づけば肺炎になってしまっていた…。なんてことがあります。あらかじめ、ポジショニングや自身で体操をするなどのリハビリで予防していかなければなりません。

3 夜間の睡眠中に胃や食道からの逆流物を誤嚥する。

誤嚥予防の体操

さて、本題に移ります。誤嚥を防ぐ体操を8つ紹介します。誰にでも1人で簡単に行える体操です。これを読んでくださっている患者様および介助者様、リハビリのスタッフたちに是非、覚えて実践して欲しい内容です。

 

「★」がついている項目は以下のリンクを参照にしてみてください。図付きで紹介されています。

嚥下体操(摂食準備体操)|なるほど摂食嚥下障害|エルメッド株式会社

★口すぼめ運動

誤嚥を起こす人は呼吸機能も低下している場合がよくあるので、呼吸の練習をします。力強く呼吸できるようになることで、ムセた時の排出力を高めることができます。

1.口を閉じて鼻から大きく息を吸い込みます。

2.口をすぼめて、目の前にあるロウソクを消すようにゆっくりと長く息を吐きます。

くちすぼめ呼吸

首の運動

嚥下に関わる部位と言えば、「首」あたりを想像する方が多いでしょう。「首」周りを継続的に動かしていくことで硬くなってしまうのを防ぎます。

1.首を傾げる(かしげる)ように横に曲げていきます。傾げた方向と反対の首がピーンと張るのを感じてください。(下図)

2.顔を左右に向けます。(首を左右に振ります)。無理にグイーっと動かすと痛めてしまうので、「気持ちいい」と感じるところまでで止めておきましょう。(下図)

3.首をグルグルと回します。頭のてっぺんで円を描くように回していきます。(下図)

お口の体操|愛顔ケアねっと

4.口を尖らして、下の顎を大きく伸ばして元に戻します。

★肩の体操

肩を上下に動かしたり、首を回すことで肩周囲の筋肉(胸鎖乳突筋や僧帽筋)の萎縮を防ぎます。ちなみに、肩を上下する運動は僧帽筋をほぐして、肩こり予防にもなります。一石二鳥ですね。

1.肩を上げます。両肩をすくめるように、両耳に肩をつけるように、ゆっくりと上げます。少し胸を張って行うと効果的です。ここで3秒間キープです。

2.上げた肩を下げていきます。スッと力を抜きましょう。

3.先ほどと同様に首をグルグルと回しましょう。

 

 

舌の体操

舌は、食べ物を咽頭へ送るだけの役割ではありません。動きが良くなることで、味覚が過敏になり、唾液量が増えます。これによって口腔内の細菌を洗い流してくれるのです。

★1.舌を右の口の端(口角)から外に突き出します。ペコちゃんみたいにペロッと!

★2.舌を左の口角から外に突き出します。きちんと突き出ているか鏡で確認しましょう。

★3.舌を鼻に近づけるように突き出します。おぼっちゃまくんみたいにグイっと!

★4.舌を下に出します。アッカンべ~!

5.口の中で歯茎を舐めましょう。口を閉じて舌の先で歯茎をぐるっと一周するように舐めます。

顔の体操

食べ物を咀嚼するときは咀嚼筋を使います。咬筋、側頭筋、外側翼突筋、内側翼突筋の4つですね。国試にも問われる内容です。覚え方を紹介します。

よく(外側突筋)よく(内側突筋)咬む(筋)よソクラテス(側頭筋)

★1.口を大きく開ける閉じるを繰り返しましょう。

2.下顎を左右に動かしましょう。

★3.頬をプクーっと膨らまし、次にキューっとしぼませます。

つば飲み体操

呼吸をするときは気道が開き、ご飯を飲み込むときは食道が開きます。この切り替えしがスムーズにいかないとご飯が気道に入り込み誤嚥性肺炎を招きます。切り替えをスムーズにする練習をしましょう。

1.口から息を吐きだしましょう。

2.口から軽く息を吸い込みましょう。

3.息を止めて顎を引いて唾を飲み込みましょう。

★食道の入り口を広げる体操

食道の入り口が十分に開くと、食べ物をスムーズに飲み込めます。

仰向けに寝た後、顎を引いて頭を床から持ち上げます(頭頚部屈曲)。大体、指2本分くらいを目安に持ち上げましょう。その姿勢で5つ数えて頭を下げます。この動作を4回繰り返します。

※参照先のサイトでは「嚥下おでこ体操」として紹介されています。手で抵抗を加えるか、重力を抵抗にするかの違いです。

★発声練習

発声を行うことで、舌や唇の動きが滑らかになります。また、食べ物をしっかり噛んだり、スムーズに飲み込めるようになります。

1.唇を使って「パ パ パ」

2.舌の奥を使って「カ カ カ」

3.舌の中央を使って「タ タ タ」

4.3音を繋げて「パ タ カ  パ タ カ」

5.「ラ リ ル レ ロ ラ ロ」

6.「パ タ カ ラ  パ タ カ ラ」

 

参考書籍

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