大腰筋
大腰筋の特徴
大腰筋の特徴として以下の3つが挙げられます。
立位姿勢をとっている身体の重心位置を上下に大きく覆っていること
身体重心高位となる骨盤には付着していないこと
身体後面では機能的に拮抗する筋は存在しないこと
起始停止
起始:(浅頭)Th12~L5の椎体ならびに椎間板
(深頭)全ての腰椎の肋骨突起
停止:腸骨筋と大腿骨小転子
神経支配
腰神経叢の筋枝(L1~L3)
血液供給
腸腰動脈(腰枝)
働き
・大腿骨が固定された場合(例えば、座位姿勢)は体幹が屈曲する。
・腰椎が固定された場合には大腿骨が屈曲する。
・腸骨筋と同様に、股関節が過伸展した場合には、前方の不安定性に対して制動し、支持する働き。
触診
ASISから1横指内側を触診します。腸骨筋との区別が難しいです。臨床では「腸腰筋」として一括りに扱われることが多いです。
関連疾患
・股関節屈曲拘縮
・慢性腰痛
・脊柱管狭窄症
・変形性股関節症
・化膿性腸腰筋炎
・腸恥包炎
大腰筋の臨床的考察
骨盤の前傾・腰椎の前弯はこれらに付着している筋肉にどのような影響を及ぼしているのか見てみましょう。
脊柱起立筋・大腰筋は起始・停止が近づき(短縮し)ます。
腹筋群・殿筋群は起始・停止が離れることでピーンと張って(伸張して)しまいます。
短縮と伸張短縮 ⇒筋肉が短縮(緊張)している⇒ストレッチなど筋肉を緩める
伸張 ⇒筋肉が伸張(弱化)している⇒筋トレなどで筋肉を縮める
また、大腰筋の両側の弱まりは腰椎のkyphosis(脊柱後湾)やsway-back-posture(円背)になり片側だと腰椎側弯に結びつくと言われています。
大腰筋は上半身の重心位置を決定する重要な筋であることを覚えておきましょう。
コメント