リハビリテーション栄養の基礎

栄養
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リハビリテーション栄養の基礎

今回は、リハビリと栄養の関りについて少し学んでいこうと思います。

私が勤めている回復期と、生活期でのリハビリテーション栄養について話していきます。

急性期・終末期の栄養を学ぼうとした方は申し訳ございません。

しかし、そんな方も知っておいて損はない内容だと思うのでぜひ一読してみて下さい。

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リハビリテーション栄養とは

「リハビリテーション栄養」という言葉を聞いたことがありますか?

僕は、恥ずかしながら今回この記事を書くまでは知らなかった言葉でした…。

 

定義を以下に示します。

リハビリテーション栄養の定義


栄養状態も含めてICFで評価を行ったうえで、障害者や高齢者の機能、活動、参加を最大限発揮できるような栄養管理をすること。

抽象的な表現ですね…。具体的には以下のことを指すみたいです。
  • 低栄養や不適切な栄養管理下におけるリスク管理

 

  • 機能訓練の時間と内容が増加した状況での適切な栄養管理

 

  • 筋力・持久力などの機能改善

リハビリ医療の流れと栄養の位置づけ

リハビリ医療の流れは、急性期・回復期・維持期の 3 段階もしくは、予防期・急性期・回復期・維持期・終末期の 5 段階で表現されることが多いです。

リハ医療の流れ

引用:リハビリテーションの流れ-中外医学社

この中で、「回復期」と「維持期」に焦点を絞って話を進めようと思います。

 

この時期は他の期よりも「栄養」と「リハビリテーション」が密接に関わってくる時期です。

 

回復期ではリハビリの内容にあった適切な栄養管理が求められます。

維持期では本人やその家族が栄養が確保された食事を作れない(配食サービスやヘルパーを利用する方もいます。)といけません。

リハビリ栄養の3段ピラミッド

実はこんな言葉は存在しません。私の造語です。以下にその「ピラミッド」を示します。

 

リハビリ栄養の3段ピラミッド

リハビリ栄養の3段ピラミッド

 

リハビリを行うにあたっては、この3つを考慮しなければいけません。

どこか1つでも欠けているならリハビリを積極的には行わない方が良いでしょう

 

例えば、日常を普通に過ごすための「1日の必要栄養量」さえ不足しているならば、リハビリをすればするほど、身体は悪い方向へ進んでいきます

 

前回も記述しましたが、栄養が足りない状態で運動や活動を行うと、我々の身体は、自分の筋肉や脂肪を分解して栄養を得ようとします。諸刃の剣です。

 

1日の必要栄養量」に加えて「リハビリでの必要栄養量」も確保しなければいけません。日常生活を送るだけのエネルギーだけじゃ足りないのです。

 

さらに!

これだけ活動して、エネルギーの余剰を出さないといけません

これが「エネルギー貯蓄量」です。

 

例えば、230kcalを1日ずつ貯蓄していくと、単純計算ですが、2週間で0.5㎏、1か月で1㎏増加することができます。

回復期リハビリ病棟に入院している方の栄養調査

以下のグラフは、回復期に入院している患者様の栄養状態を示したグラフです。

 

回復期リハ病棟患者の栄養状態調査

回復期リハ病棟患者の栄養状態調査

 

ここから何が分かるかというと、回復期病院に入院すると約半数はやせるという結果です。

全国的には6~7割の患者様がやせてしまうそうです。

 

もしかしたら、あなたが担当している患者様も低栄養かもしれませんよ?

リハ栄養ケアプロセス

質の高いリハ栄養を実践するためには、以下の5つのステップで構成される「リハ栄養ケアプロセス」が有用です。

リハ栄養ケアプロセス

 

ICFによる全人的評価と栄養評価を行います。

また、フレイル/サルコペニアの有無、栄養の過不足を確認します。その結果から栄養状態を推論します。

この過程を「リハ栄養アセスメント・診断推論」と言います。

 

 

次に、「リハ栄養診断」で状態と原因を診断します。

  • 低栄養や過栄養の有無とその原因
  • サルコペニアの有無とその原因
  • 栄養素摂取の過不足とその原因

その原因」を知ることで、適切なアプローチや目標、予後予測を検討することができます

原因は様々ですからね。

単純に摂取量が足りない場合や、急性炎症や外傷、悪性腫瘍や臓器不全でも栄養が不足してしまいます。

 

 

「リハ栄養ゴール設定」では、目標値を明確にしましょう。

「1か月に体重を1kg増やす」というゴールを設定した場合を考えてみましょう。

先ほど記述したように、エネルギーを毎日230kcal貯蓄していく必要があります。

低栄養やサルコペニアの場合には、明確なゴールを設定することで、リハの効果を向上させることが可能になるでしょう。

 

 

「リハ栄養介入」については後述します。

 

 

なによりも大事なのは、リアセスメントすることです。

これが、「リハ栄養モニタリング」です。

1回やったら終わり!ではないのです。

患者様の栄養状態は日々変化していきます。

その状態、その状態に応じて「リハ栄養介入」も変化していきます。

「各職種」の栄養に対するそれぞれの視点

栄養には様々な職種が関わっていくべきだと、以前の記事で紹介しました。

 

 

具体的にどのような視点が必要なのかをざっとまとめたので確認しましょう。

病棟(Dr・Ns・Cw)

治療方針

疾患の状態

ケアの方向性

栄養摂取量と現在の状況

身長・体重とその変化量

ストレス

嘔気・嘔吐

下痢

褥瘡の有無

浮腫の有無

リハビリ職(PT・OT・ST・歯科衛生士)

摂食嚥下障害と重症度

意識障害

うつの有無

生活機能

認知機能

座位の耐久性

空間無視

閉じこもり

姿勢の崩れ

摂食に対するリハ目標

食べられる口づくり

口腔ケア

口腔内環境改善

薬剤部

内服状況

副作用

食物との相互作用

薬剤に関する血液データ

栄養部

血液検査データ

栄養必要量と提供量

食事内容

栄養判定

栄養ケアの提案根拠

モニタリング

家族指導

相談室(SW・CM)

退院の方向性

家族の希望

活用できる社会資源

「リハビリ職」の栄養に対するそれぞれの視点

リハ栄養プロセスで言うと「リハ栄養介入」の部分ですね。

さらに細かくリハビリ職に絞って、栄養への視点の具体例をみてみましょう。

PT

  • 耐久性の向上
  • 筋肉量および筋力の増減についての情報提供
  • 車椅子から歩行に変わる際の情報提供(活動量の向上のための食事量の調整に必要)
  • 浮腫の状況(摂取塩分が増えると、浮腫んで装具等がきつくなることもあるので要確認!)

OT

  • 自助具、自助食器等の検討
  • シーティング
  • 自宅退院後の食事の設定及び家事能力の評価(調理者として何品くらい作ることが可能かなど…)
  • 高次脳機能障害の情報(栄養指導実施前に行いましょう)

ST

  • 嚥下機能評価
  • 有効なコミュニケーション方法の情報提供
  • 食形態アップの際の量、時間、介助摂取方法、経管との併用方法などの検討

おわりに

大前提として、生きるため・活動をするためには栄養は非常に大事であります。今回のまとめです。

 

まとめ


・リハビリを受けている患者様に低栄養が多い
・低栄養の方に過負荷のなリハビリを提供することで、身体機能が悪化する
・運動療法と栄養摂取をバランスよく行うことでより効果的な機能回復が期待できる

回復期や維持期での栄養のサポート、リハビリテーション栄養の目的は「機能改善」と「生活再建」にあるということを覚えておきましょう。

 

最後まで読んで頂きありがとうございます。お疲れさまでした。

参考文献・書籍

・漆原 真姫,一般社団法人 回復期リハビリテーション病棟協会 栄養委員会,
平成26年度回復期セラピストマネージャーコース「リハビリテーションと栄養管理」

・若林 秀隆,「リハビリテーション栄養の重要性 ~どのような運動を行い,どのタイミングで,どのような栄養を加えていくか」日本フットケア学会雑誌,2018年16巻4号P.171-176

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