SLRテストの意義・実施方法・結果の解釈について

理学療法評価
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SLRテストの意義・実施方法・結果の解釈について

 

『SLRテストは坐骨神経痛の有無について評価するもの』と学生の頃に覚えている方も少なくないのではないでしょうか。

 

間違ってはいません。

 

しかし、SLRという動作は疼痛評価のほかに、筋の柔軟性の評価や筋力評価にも使用されています。

 

今回は、SLRについて、使用目的や方法と実施するにあたっての注意点、結果の解釈、Lasègueテストとの違いについてまとめてみようと思います。

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使用目的と評価項目

まず、このSLRという動作を行う際に自動で行うか、他動で行うかによって何を評価するかが変わってきます。

 

全てがSLRテストと呼ばれているわけではありません

 

SLRテストとは


腰下肢痛のある方にSLRを他動で行うとき、腰下肢痛坐骨神経痛が再現されるかどうかを確認するテスト

 

SLRを自動で行う場合

疼痛評価

  • 妊娠時の腰痛患者に対して骨盤輪の疼痛誘発の有無を評価できる。
  • 腰痛患者に対して椎間板の不安定性由来の腰痛の再現をすることができる。

筋力評価

  • 脳血管疾患の方に対して、麻痺側の歩行後の予後予測ができる。
  • 変形性膝関節症の方に対して人工関節置換術後の低侵襲性の証明ができる。

SLRを他動で行う場合

疼痛評価

  • 腰下肢痛の方に対して腰下肢痛・坐骨神経痛の再現ができる(⇒SLRテスト)
    これらの疼痛を有する方のSLR角度は79%の割合で70°以下で、疼痛誘発率は83%

 

  • 股関節疾患の方に対して股関節痛(鼠径部・大腿部・臀部)の再現ができる。
    これらの疼痛を有する方のSLR角度は26%の割合で70°以下で、疼痛誘発率は25%

柔軟性評価

  • スポーツ選手に対してSLR角度によりスポーツ障害の予後予測が行える。

 

SLRテストの実施方法

SLRテスト

被検者は背臥位とし、検者は被検者の踵を持って膝関節伸展位を保ったまま徐々に下肢を挙上して(股関節を屈曲させて)いきます。

そして、床面から下肢がどの程度まで上がるのかを、床面からの角度によって判断します。

 

それ以上の挙上が困難な角度を記録し、70°以上挙上(日本整形外科学会の腰椎スコア)できなければSLRテスト陽性と判断します。

 

ちなみに、脊椎脊髄病用語辞典(第3版)では80°以上の挙上が困難な場合にSLRテスト陽性と記述しています。60°と報告している文献もあります…(笑)

 

この曖昧さが嫌ですね。統一性がないのがモヤっとします

 

補足:SLRテストを実施する際の注意点

検査する側の膝が伸展できていない場合

SLRテストの注意点

坐骨神経痛やハムストリングスの過緊張や短縮を代償するために、膝関節が屈曲してしまうことがあります。

膝の後面に限局した痛みを生じる場合は、ハムストリングスの過緊張や短縮が考えられます

対側の膝関節が浮いてしまう

SLRテストの注意点

これも同様に、坐骨神経痛やハムストリングの過緊張や短縮を代償した結果生じる運動です。

結果の解釈について

以上で示した『SLRテスト陽性』は『角度』での判断です。疼痛』によっても陽性と判断することがあります

 

ここが難しいのですが、SLRテストによって疼痛が発現する部位は多岐に渡ります。

 

具体的には、膝以下の疼痛、腰部の疼痛、臀部-大腿後面などです。どのような痛みが出たら「疼痛評価におけるSLRテスト」が陽性と言えるのでしょうか

 

海外では腰痛・臀部痛・大腿後面痛は含まないとする報告が多くありますが、私たちが住んでいる日本では、先ほどの『角度』と同じで統一性がないのが現状です。

 

仮にSLRテストの陽性の機序が『坐骨神経の伸張によるもの』に限局するものだとすれば、膝以下の根性(神経由来の)疼痛の発現を陽性とするべきです

 

これだけは覚えて欲しいのですが、SLRテストのみで全てを判断するのは難しいのです。

 

そのため、SLRテストを行う際は、他の疼痛誘発テストと併用したり、疼痛部位やSLR角度、具体的な神経学的所見・臨床所見を記載し、総合的に判断しましょう。

 

SLRテストとLasègueテストは同義?

結果から述べると違います。「同義ではないか?」と混乱している方も多いと思うので、ここで違いをはっきりさせておきましょう。

Lasègueテストの第1手技

Lasègueテスト第1手技

とは言ったものの、第1手技はSLRテストと同じです。坐骨切痕高位での疼痛誘発を確認します。臀部の筋収縮によって坐骨神経が圧迫されて疼痛が出現します

 

SLRテストとは疼痛発現の機序が違うことにも注目して欲しいです。

疼痛発現の機序の違い


SLRテスト陽性⇒坐骨神経の伸張が要因
Lasègueテスト第1手技での疼痛発現⇒臀部筋の収縮による坐骨神経の圧迫

 

SLRテストとLasègueテストを『疼痛部位』で比較してみましょう。

疼痛部位による違い


SLRテスト陽性⇒膝以下の根性疼痛
Lasègueテスト第1手技での疼痛発現⇒臀部-大腿後面の疼痛

 

Lasègueテストの第2手技

Lasègueテスト第2手技

第1手技で疼痛が誘発された』からLasègueテスト陽性ではありません。Lasègueテストには第2手技があります。

 

患肢をベッド上に戻し、膝関節と股関節を屈曲させます。こうすることで、臀部筋の圧迫を除くことができます。この手技で疼痛が軽減されればLasègueテスト陽性です。

 

補足:kernig徴候とは?

似たような検査としてkernig徴候というものがあります。これは、髄膜刺激症状の診察をする際に用いられます。

kernig徴候

kernig徴候

 

背臥位にて股関節・膝関節を90°屈曲位とし、膝関節を伸展させていきます。

この時に、膝関節が曲がって伸展できない場合(膝関節が45°以上屈曲できない場合)に陽性となります。

 

ハムストリングスなどの膝関節屈曲筋の攣縮により引き起こされるもので、しばしば疼痛を伴います。

 

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