Wallenberg 症候群と嚥下障害

摂食嚥下
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備忘録!Wallenberg 症候群と嚥下障害

 

Wallenberg 症候群の方が呈する症状の1つとして嚥下障害が有名です。

今回はWallenberg 症候群と嚥下障害というテーマで、原因と評価方法やアプローチ法などを紹介します。

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Wallenberg 症候群によってなぜ嚥下障害が起こるのか

嚥下は孤束核、疑核などの延髄神経核・網様体・嚥下関連ニューロンが複雑に関与し制御された運動です。

Wallenberg 症候群では以上の制御のいずれかまたは複数が障害されてしまいます。

 

障害された結果、以下の3つの障害を引き起こします。

咽頭期嚥下運動の惹起不全

嚥下パターン出力の異常・出力低下

咽喉頭知覚の入力機構の障害

Wallenberg 症候群による嚥下動態の特徴

以下のような症状を呈することがありますが、主には咽頭期障害を呈することが多いです。

  • 顔面麻痺

 

  • 開口障害

原因としては主に以下の2つが考えられます。

  1. 顔面神経麻痺に伴う顎関節症
  2. 三叉神経運動核の障害による咬筋の痙性亢進

 

  • 口腔期障害

 

  • 咽頭期障害

ちなみに咽頭期とは、『嚥下反射により、食塊を咽頭から食道入口部に送る時期。軟口蓋が挙上して鼻腔を閉鎖。舌骨・喉頭が挙上し、食道入口部が開大。同時に喉頭蓋谷が下降。声紋は閉鎖して気道防御機構が働き、誤嚥を防止する。』時期のことです。

 

  • 延髄非病巣側の輪状咽頭筋の障害

非病巣側の食道入口部通過異常(passage pattern abnormality(PPA))の有無によって障害像を3タイプに分類できます。

 

  1. PPAを認めない
  2. PPAを認め、病巣側食道入口部で通過可能
  3. PPAを認め、病巣側食道入口部で通過不能

 

また、咽頭喉頭の要素的障害がどこから起こっているのかを確認するために、以下の8つの左右差を確認して評価しましょう。

 

  • 軟口蓋の動き
  • 鼻咽腔閉鎖
  • 咽頭壁の動き
  • カーテン現象
  • 喉頭挙上
  • 咽頭収縮
  • 披裂部/声門部の動き
  • 食道入口部開大

タイプⅠに対するリハビリ

タイプⅠは病巣側の出力異常のみで、おもに疑核の障害が疑われます。

 

病巣側へ頸部回旋をすることで健側咽頭・食道入口部の通過が可能となります。

※誤嚥のリスクを減らして嚥下が可能となりますが、訓練というよりは代償手段と言った方が良いでしょう

 

・空嚥下やシャキア法などの嚥下関連筋の筋力トレーニング

 

・呼吸リハビリテーション

 

・声帯麻痺は誤嚥の原因となるため、発声訓練も必要です。口を閉じた「ンー」の発声で、うなじ方向に向かって声を出すイメージで声を出ましょう。

タイプⅡに対するリハビリ

タイプⅡとタイプⅢでは延髄の片側病変であるにもかかわらず、食道入口部には両側性に障害をきたします。

  • 病巣を下にする側臥位(一側嚥下)にて病巣側に水分を誘導する方法にて直接訓練を進めましょう。
食塊の咽頭通過に関与する2つの要素


1.健側の咽頭が収縮するために食塊が麻痺側に押しやられ、麻痺して弛緩している患側の咽頭(下咽頭、梨状窩)に入りやすいです。
2.正中位で嚥下する場合には食塊は麻痺側・健側療法の食道入口部を通過します。

  • バルーン法

食道入口部を機械的に拡張し(食道入口部のコンプライアンスの改善)・食塊の咽頭通過(咽頭収縮と食道入口部開大のタイミング)を改善する方法です。

自然回復期を過ぎた6か月以降も効果があり、即時効果が狙えます。

以下のリンク先では画像や使い方が載っています。参考にして下さい。

47歳の私とワレンベルグ|バルーン法

 

  • チューブのみ訓練

チューブ(カテーテル)を繰り返し嚥下することにより、嚥下反射の惹起性を改善させ、喉頭挙上運動の速度および距離(変位量)を改善させることができます。

また、舌による送り込み運動・咽頭期嚥下運動の協調性を改善させる効果も期待できるといわれています。

タイプⅢに対するリハビリ

  • タイプⅡ同様の方法でリハビリを行い、改善が見込めない場合には、ボツリヌス毒素注入療法、手術治療を考慮する必要があります。

参考文献

 

 

 

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